パパとめぐりあうために旅を続けるママと娘。
物語はママの視点と娘の視点を交互にして進んでいく。
パパとの「骨まで溶けてしまうような恋」を望むママ。
しかし、そこには恋を追い求める熱い想いのようなものは感じられず、ただじんわりと人を愛する気持ちが淡々と描かれている。
でも、物語の中心はママと娘とのあいだの微妙な感情などなど。
旅をつづける生活のなかで、娘の成長とともに親子の感情に微妙なズレが生まれる。
そのズレの中で小説の緊張感が徐々に高まっていき、クライマックスへと繋がる。
個人的には結末はちょっと余計だった気がするが、かなり良い小説だった。
江國文学の最高傑作との呼び声も納得がいく。
でも、肉の木的には「きらきらひかる」や「落下する夕方」の方が良かったと思うのだった。
|