読書日記

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江國香織

生の感情をありありとしかしぼんやりと描写する筆力に脱帽。
個人的にはかなり好きな作家の一人です。




流しの下の骨 江國香織
いい小説だった。
普通の家族の何気ない生活の一こまを「ぼんやり」とそれでいて鮮やかに写していた。
ちょっと冷静になって読むと、この家族かなり変なんだけど。
そのへんの微妙な違和感がまたよし。
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きらきらひかる 江國香織
ホモとアル中の夫婦の話。
すごく面白かった。
なかなかリアルに書いているのに、どことなく「ぼんやり」している感じが○。
一人称なのに妙に客観的に感じさせる視点。
でも素直に感情移入できたりする。
いいね。
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落下する夕方 江國香織
とてもいい小説だ。
不覚にも泣きそうになった。
いわゆる三角関係の話なのだが、男をとられた女性の視点の小説。
で、主人公が男をとった方の女性と同居するところが意外。
なんか、描かれる感情が痛くて痛くてたまらないんだけれども、やっぱりどことなくぼんやりしてるんだよなぁ。
いいかんじ。
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冷静と情熱のあいだ Rosso 江國香織
辻一成の「冷静と情熱のあいだ blu」とセット。
うーん、江國香織はいつもの江國ワールドがでていなかったなぁ。
ちょっといまいち。
Rossoの方が視点が割と「今」なんだけどBluの方は「過去と未来」だなぁと思った。
だからなんとなくBluの方が女々しいというか、こう過去を引きずってるなぁという印象。
rossoはどことなく現実的である意味ドライ。
それが小説の人物がそうなのか、単に二人の小説家の物語に対するスタンスの違いなのかはよくわからじ。
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ホリーガーデン 江國香織
江國節炸裂って感じでよかった。
「どちらかというと、晴天は不幸に似ている、と思った。
  それも恒常化した穏やかな不幸に。」
という一節にしびれたね。
う〜ん、すばらしい。
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すいかの匂い 江國香織
子どもの頃の記憶をつづる短編集。
そこにはいろいろな子どもがいて、何処にでもいそうな個性的な主人公がいて、いろいろなエピソードがある。
しかしそこに描かれる子どもたちの感情は誰もが感じたことのあるであろうものであったりする。
暗い話(というより怖い)が多かったような印象があるが、読み終わったときには心がほっとする。
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神様のボート 江國香織
パパとめぐりあうために旅を続けるママと娘。
物語はママの視点と娘の視点を交互にして進んでいく。
パパとの「骨まで溶けてしまうような恋」を望むママ。
しかし、そこには恋を追い求める熱い想いのようなものは感じられず、ただじんわりと人を愛する気持ちが淡々と描かれている。
でも、物語の中心はママと娘とのあいだの微妙な感情などなど。
旅をつづける生活のなかで、娘の成長とともに親子の感情に微妙なズレが生まれる。
そのズレの中で小説の緊張感が徐々に高まっていき、クライマックスへと繋がる。
個人的には結末はちょっと余計だった気がするが、かなり良い小説だった。
江國文学の最高傑作との呼び声も納得がいく。
でも、肉の木的には「きらきらひかる」や「落下する夕方」の方が良かったと思うのだった。
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薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 江國香織
すごくいい。江國節炸裂な感じ。
感情の微妙な起伏をありありとそれでいて淡々と書き綴る独特の雰囲気がいい感じ。僕は視点の切り替えも江國小説の特徴の1つだと思っているのだが、それがこの小説では小気味いいくらいにはまっている。またそれによって個々の感情のすれ違いだとか気持ちの変化がとてもよく伝わる。
かなりオススメ度高いです。
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号泣する準備はできていた 江國香織
直木賞受賞作。
うーん、この人の短編はちと微妙。淡々とした中で徐々に感情や状況がありありと変化していって緊張感が高まるのがこの人のウリだと思っていたのですが、短編だとあっさり終わっちゃう感じがしちゃって。
っつか、なんでみんなこんなやる気ないんだー。
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Last modified: Thu Feb 19 00:51:52 JST 2004